お便りコーナー
会員の皆様から寄せられたお便り紹介
8.愛犬「源」を偲んで
大阪市 岡 美恵子
登録犬名 寝屋の秋空号
犬舎名 大阪アキ荘
父犬名 名高の勘成号
母犬名 仙北の竜姫号
9月27日早朝、我が家の愛犬「源」が、14歳14日の生涯を閉じました。
7月初めに寝たきりになり、3ヶ月近く頑張った末の死でした。「源」が亡くなり、1ヶ月半になりますが、寂しさは癒えることなく、「源」の存在がいかに大きかったかを痛感している毎日です。
「源」と出会いは、私がある集会に参加した時に、たまたま隣に座った「源」の母犬の飼い主である上辻さんに、「犬を飼いませんか?」と声をかけられたのがきっかけでした。家族に相談すると、特に娘が「飼いたい」と言ったので、早速みんなで上辻さん宅へ子犬を見せてもらいに行きました。玄関先で母犬の今は亡き「アキちゃん」と、生まれて間もない可愛い子犬4匹が出迎えてくれました。その中から娘が選んだのが、オスの「源」でした。
「源」が我が家に来たのは1997年10月の下旬で、生後1ヶ月ちょっとでした。「源」は、少しずっやんちゃ振りを発揮し出し、家族は振り回されることになりました。昼の間、ゲージの中で留守番をしていたものですから、ゲージから出してもらった時には、部屋中を走り回り、色々な物を咬みまくり、所構わずオシッコをしました。でもそんな姿が可愛くて、家族みんなで「源」の取り合いっこでした。
その年の「関西支部交流会」に生後2ヶ月で初デビューしました。その時、「アキちゃん」が落ち着きなく走り回る「源」を恐い顔で怒るのを見て、さすが母親だと思いました。この交流会に参加してから、少しずつ「柴犬研究会」の活動を知ることとなりました。
次の年の春から、玄関先の犬小屋で生活することになりました。やんちゃな「源」は、真新しい犬小屋のドアをその日のうちに壊してしまい、出入りロや屋根はアツと言う間に咬んだ跡でガタガタになってしまいました。近所に広い公園があり、犬の散歩仲間が一杯いましたが、「源」はマイペースで自分の思い通りに黙々と散歩して、余り他の犬と遊ぶことはありませんでした。まれに「源」が気に入った犬がいても、相手にしてもらえませんでした。遊んでもらいたくてそばに寄って来る小型犬は苦手で、いつも逃げていました。
やんちゃなのにとても恐がりで、水をかけられるのをとても恐がりました。お風呂の中でシャンプーをする時は、大騒動でした。シャンプーが終わるとタオルで拭く間もなく、一目散に外に飛び出していったものです。病院も大嫌いでした。診察台の上では緊張して固まっているのですが、診察が終わると必死で台から飛び降り部屋から出ようとしました。
外で生活するようになり、アレルギーの症状が見られ、目がとても痒そうでした。血液検査をしましたが、原因はわかりませんでした。庭に色々な木が植わっていたし、土ぼこりもありましたので、それらが原因だったのかも知れません。症状がひどい時は、目の周りをこすり過ぎるので毛が抜け爛れて、男前の「源」がひどい顔になりました。余りにひどい時には、ステロイドを飲ませていましたが、9歳の時、高台で環境のいい今の家に引っ越してからは、ほとんどアレルギーが出なくなりました。新しい家では、裏庭でゆったりのんびり過ごし、緑の多い散歩コースをあちこち歩きました。環境が、「源」の健康にとても合ったのだと思います。
しかし、すでに老犬の年になった「源」は、年々老いの症状が見られるようになりました。
少しずつ目が見えにくくなっているようでした。13歳ごろには、散歩の時に溝にはまったり、柵にぶっかったりするようになりました。そのうち、目が見えなくて怖いのか夜鳴きをするようになり、私たちもたびたび起こされて困りました。病院に相談に行くと、「痴呆が始まっています」といわれ、睡眠薬をもらいました。効き目に個人差があるので、少しずつ飲ませて効き目を確かめるように言われましたので、まず1粒飲ませたところ、効きすぎて死んだように眠り、怖くなって止めました。そこで、近所迷惑にならないように夜だけ玄関のケ-ジに入れると、ほとんど夜鳴きがなくなりなりました。安心して眠れるようになったからだと思います。
しかし、老いの症状は足にも表れ、散歩の途中で何度もこけるようになりました。不思議だったのは、目も見えないのに、溝のふたのところは必ず飛び越えようとしたことです。だんだん越えきれずに、後ろ足がふたに残っているに飛び越えた気分になっているのが、おかしかったです。
暑さもこたえてか、7月に入った頃にとうとう寝たきりになってしまいした。それと同時に食事もスープ状のものしか喉を通らなくなり、痩せて体力も衰えていくばかりになりました。床ずれもひどくなり痛々しい姿となりましたが、私達は仕事のため置いてくしかおりませんでした。
そして、亡くなる3日前から急に食事を摂らなくなり、スポイトで無理やり水分やスープをいれました。喉の奥でゴクンと飲み込む気配があると、「飲んだー!」と喜び合いました。しかし、なくなる前の夜は、スポイトを入れていた隙間もぴったり閉じてしまい、どんなに開けようとしても無理でした。その代わりタオルの端をぐっと噛み締めて離そうとしませんでした。そんな力が残っていたのかと思うぐらい、ぐっと噛んでいました。次の日の朝、そのタオルを噛み締めたまま亡くなっていました。
寝たきりになってからも、仕事のためずっと付き添ってやれなかったことが、悔やまれます。
留守番ばかりの一生で寂しい思いばかりさせていたのではなかったか・・・源は幸せだったのだろうか・・・・・
(2011年11月7日記)
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