お便りコーナー

    会員の皆様から寄せられたお便り紹介



三代目源太育犬物語②

横浜市  菅野  侃さん

 6月1日から源太は、外の小屋の生活に入りました。



誕生から数えて161日目(我が家に来てから128日)



1.総評
 順調に成育しております。先代より29日遅れての引越し、夜中の鳴き声は皆無でした。耳は、4/19立ち、犬らしくなりました。

 体重 8/12 7.4㎏ 1/31 2.9㎏
    5/8 4.2㎏ 6/15 5.2㎏

 食事の催促吠えとおやつは確りと鳴き声で知らせてくれ、すわり・待ての躾に時間が掛かっており、食器を見ると突進しかないらしく、ひたすら一辺倒、歴代顔負けの勢いです。
 甘噛みの癖が歴代中最も長く、我々の衣類やら小屋の縁迄噛んでおります。
 排尿は、雌犬形式から雄犬風への変化の兆しは皆無、道の真ん中でも、匂い目印など論外です。




2.散歩
 飼主の待ちわびた散歩は、外飼いの初日に晴れて実行、先代と別れてから6ヶ月余り、目印電球をつけての一人散歩に終止符を打つことが出来、記念すべき日になりました。
 散歩の姿勢は歴代一番、並歩或いは少し遅れての歩行を常とし、音には非常に感度が高いので、陸橋・歩道橋を渡る時は車の騒音が高い故か、リードを強く引く以外はおとなしく並行し初めてのことと感心しております。
 他犬・猫などに遭遇しても悠然としており、避けるなどの姿勢はとらず吠えもせずです。
 排便・排尿の姿勢はともかく、目下散歩の障害は皆無です。
 先代で困った「拾い食い」の習性は、時折地面すれすれに鼻を近づける程度で推移しており、懸念はないようです。




3.しつけ
 正確な腹時計で、朝夕の7時を目指しての鳴き、吠えは玄関飼いでは止む無しとしていたが6/ 1以降の外飼いでは、近隣のこともありしつけを開始した。
①鳴き声、吠えはこまめに叱り、食事を遅らせる。
②食餌の容器を持参し、座れ・待てが出来ない時は持ち帰り、30分後に同様の仕草が出来た時は与え、出来ない時は持ち帰る。
③学習効果は②で7/15効果が表れるようになり、しつけは旨くいっている感じである。
 次は、散歩中に立ち止まり、即、大小をその場で実行するので、場所選びをさせたいが…良い方法があれば、ご教示願えれば幸いである。

柴犬110号 東海支部長 武藤紀久氏記述の縄文柴犬基準対比
体重10㎏未満 現在7.4㎏食事量で制御したい
食餌内容 玄米・鶏肉・野菜2種類 煮
体高42㎝ 現在37㎝ 散歩 毎日 除く
豪雨 散歩距離 夜だけで6,000 歩
名札 tel 住所記載し首輪に
歯磨き 実施していない
首輪外し 実行不可

以上




柴犬の子犬の育て方(2)

顧問  園田 信行さん


筆者飼育の柴犬


ケージを用意する
 住居のスペースの都合で柴犬専用の寝箱が造れない場合(マンション、アパートなど)は、ケージを利用する。いろいろな製品が出ているが、私はプラスチック製のものを利用している。価格的に手ごろであるし、組立式で軽量、持ち運びも非常に楽である。
 なによりもプラスチック製であるから、汚れが染み込むことも少なく、多少汚れても洗ったり、拭き取ったりすることで清潔を保つことができる。頑丈、と言える造りではないが、子犬時代から成犬になるまでずっと使用することができる。
 ケージ購入のときには、子犬が成長したときのことを考慮して大きさを選ぶ。
 私は、二種類のものを用意している。間口45㎝×高さ45㎝×奥行60㎝のものと、これよりやや大きめの間口50㎝×高さ50㎝×奥行75㎝のものである。小さめのものが牝犬用、大きめのほうは牡犬用である。
 このくらいのサイズであると、人が取り扱うのも容易であるし、柴犬たちは、このスペースの中に一日中入っていても苦痛ではないようである。どちらも中で柴犬たちが立ち上がることができるし、向きを変えることもできる大きさである。牡犬は牝犬よりやや体高が大きくなりがちであるから多少大きめのサイズにする。
 木製の寝箱または犬舎を用意できる場合でも、このプラスチック製ケージを一つ用意しておくようにしよう。犬を連れて移動する場合など、ケージに入っておとなしくしていることができるように習慣づけておけば、飼い主にとっても犬にとっても大変好都合である。
 初めて柴犬を子犬から飼育する人は、こんな狭い空間で一日中過ごさせて大丈夫だろうか?と心配になると思うが、私がいままで飼育してきた体験によると、まず問題はない。
 よく観察してみると、柴犬は子犬期も成長してからも一頭で過ごす場合、例え運動スペースがある場合でも殆ど運動らしい動作はしない。一日の大半を丸くなって過ごしている。また子犬期に、同胎犬であるかどうかの別なく複数の子犬同士をこのような場所で飼育しても、時折、仲間同士の組んずほぐれつの取っ組み合いの運動はするが、殆どの時間は子犬同士が寄り添って丸くなって過ごしている。
 このような点から見ても、ただ単に広いスペースを用意することが、柴犬の生活にとって絶対必要な条件ではないようである。いままでの私の観察では、広すぎるスペースより、このくらいのスペースのほうが柴犬たちは落ち着くように見える。
 ケージの底には木製のスノコを置く。出し入れが容易にできるよう薄目の軽いものにし、その上に新聞紙を敷いて使用する。これだと、ケージのスペース分だけでずっと柴犬が飼育できるわけであるから、特別
な場所や広いスペースは必要ない。
 以後は、人や柴犬たちの一日の生活サイクルに合わせてケージを移動できる、という利点を生かしている。


スペースの関係で寝箱を造れない場合、ケージを
利用する。冬期、日当たりの良い所へ集合した状態


最初は牝の子犬を

 寝箱、ケージなど、柴犬のためのスペースが用意できたら、いよいよわが家で飼育する柴子犬を牡にするか、牝にするかを決めるという段階に入る。
 私の経験からは、初めて柴犬を飼育する人には、やはり牝を勧める。牝犬は比較的性質が優しく、細やかな犬が多いように思える。運動時の引き綱を引っ張る力も牡犬ほど強くなく、家人に対しても細やかな気配りが感じられ、共に暮らしてみても随分と暮らしやすいのである。
 それに、牝犬は次の世代をわが家に直接残することができる。飼育する者にとって、家族の一員である柴犬が出産し、子育てをする様子を一部始終観察できることは、このうえない感激である。
 他方、牡犬も次の世代を残すことは牝犬同様であるが、自家で直接出産、子育てをする牝犬とは違い、感激がやや薄れる。
 性格もやや大雑把なように感じられ、また牡犬は家人を見分けて付き合うので、特定の家人の言うことはよく聞くが、それ以外の人の言うことに対しては割合ぞんざいな態度を見せる場合がよくある。それに、生理的な面で、子犬時代はもとより、成犬になってからも排尿の回数が多く、牝よりやや手がかかる。
 成犬になって発情を見ても、牝犬は一日の生活サイクルにあまり変化を見せないが、牡犬は極端と言っていいくらいに急変する。発情した牝犬に出会ったりすると、制止するのが大変であるし、戸外での運動中などに発情した牝犬の臭いにでも触れると、失踪するような事態になったりすることもある。
 近所に発情した牝犬がいると、寝箱にいてもケージの中にいても、微風に乗って漂ってくるわずかな臭いを嗅ぎつけて、外へ出せ、と大騒ぎをする。
 犬の臭覚の鋭さは人の100万倍もあるとも言われる。十数㎞以上もの遠方で飼われている犬の臭いを嗅ぎつけて大騒ぎするくらいである。複数の牝犬たちと集団で暮らしている牡犬は、例えその集団に他の牡犬がいてもあまり大騒ぎはしないようであるが――。特に大騒ぎして困るのは、初めて発情した牝に出会った、当然、交配経験のない若い牡である。
 私の場合、狩猟期はもとよりそれ以外の時期も割と頻繁に犬たちと山野に出掛けるのであるが、獲物を追い出す作業に集中できにくい様子を見せたり、発情した牝犬に出くわすとそれに気を取られて狩りの途中であることを忘れ、その牝犬を追いかけようとするのを制止することに苦労させられたりする。
 このような理由で、初めて柴犬を飼育しようとされる人には牝を勧めるのである。

飼育目的と方針

 さて、飼育しようとする子犬が牝か牡か決まったら、次には飼育の目的と目標を大雑把でもいいからハッキリさせておこう。
 例えば、「子供たちが飼いたいという希望を持っているから」、「家族の一員として飼いたいから」、「子供たちの情操教育のために」とかいろいろあると思う。そして、目標であるが「狩猟犬として山で使役してみたい」、「展覧会に出陳してみたい」等々、これまたいろいろあるであろう。
 このことは、柴犬を飼育するうえにおいて、後々人と犬が共に楽しく暮らしていくうえで非常に大切なことだと私は思っている。これから家族の一員になる子犬が、その家庭内で置かれる立場が決まってくるからである。柴犬の飼育のための目的、目標は、ある程度家族が一丸となって飼育に取り組むためにも、きちんと持つべきことだと思う。
 そのための話し合いの過程で、家族と子犬が触れ合う時間も多くなり、人と犬のあいだに自然に信頼関係が生じ、日を追うごとにその関係が深くなっていく。
 柴犬を飼育する条件の一つとして、家族(人)の居住する中に入れる飼い方をするのか、あるいは家の中には一切入れないか、またはその時々の条件のなかで、折りに触れ家人の都合に応じて住まいの中に入れてやる飼い方ができるかも、あらかじめ決めておく。
 私の場合は、家人の都合に合わせて犬たちを住まいの中に入れてやり、時々一緒に過ごす。柴犬は、元来が家人のそばにいつも一緒にいたがるので、住まいの中に入れてやると大喜びするし、人と犬とのあいだの信頼度もぐーんと強くなり、犬もより一層生き生きしてくる。


筆者の木製犬舎(寝箱と運動スペース)と愛犬


 遙か太古の縄文時代、人と犬とは現在より一層緊密な度合いで住まいの内外の別なく一緒に生活していたことと思われるし、私の子供時代の犬たちの飼われ方も現在のように殆どの犬が外に置かれているのとは違っていた。当時は、住まいの一部分に「土間」があり、犬たちは自由に出入りして、その一角で寝起きしていたのである。
(つづく)




飛鳥はますます元気です。

横浜市  波田野智子さん

 最近の飛鳥は、2/27に12才になりましたが年齢の割にはとても元気です。毎日のスケジユールは体内時計通りで5時起床・朝食、散歩は5時15分~6時迄。昼間は殆んどお留守番を勤めてくれていて、夕方5時には、1時間程の散歩、6時には夕食です。生後50日で我が家に来て以来、毎食、自家製のカスピ海ヨーグルトをデザートとして食べていて今でも食事が終わると必ず貰いに来ます。
 ハイタッチして食べる習慣も続いています。そのせいかどうか…お腹をこわしたことは一度もなく、快便で健康な毎日を過ごしています。これからも老化は進んでいきますが一日でも長く健やかな毎日をと願っています。これからもどうぞよろしくお願いします。


2005年2月27 日生
加山久理王 ♂
〝飛 鳥〟



三代目源太育犬物語①

横浜市  菅野  侃さん

 3月15日で源太は、横浜1.5ヶ月を過ぎ順調に育っております。小屋の代わりに玄関に設けておりました檻囲いは、繋留の儘飛び越えることが出来る様になり、首つり状態が散見され、危険と判断したので三週間余りで撤去しました。

最初はこの状態

檻を撤去

本日、検診で、二回目の七種混合ワクチンの接種を行い、体重3.6㎏を計測、1ケ月先に狂犬病の注射予定です。

1.鳴き吠え声
 元気溌剌、七色の声を駆使して色々の訴えを行う。最初、庭への散歩を怠り小水をすると、鳴き教える初めての縄文柴に感心しておりましたが、最近は小水前にある鳴き声でサインが出るようになり庭に連れて出るようにしております=3月から家内談中々と感じ、三代目で初めて賢い犬に出会ったものと感心することしきりであります。次に凄いのは、朝晩の食餌前、一時間前になると唸りを入れた鳴き吠え声を延々と、抱きかかえてあやしても治らず、歴代初めて、唯時間待ちになります。外の小屋迄、家の中にいる内に、どうやって躾けるかが課題であります。

2.太陽犬
 お陽様の好きなのには驚きました。先代も真夏に日よけから外れての天日干しで大丈夫かと心配したことを想起しながら、改めて太陽犬だと思いました。バルコニーから先代の小屋に繋留しておくと、太陽が陰 ると鳴き声で知らせてくれます。二時過ぎからは、太陽があれば玄関の外におります。陽当たりの悪い日はご機嫌斜めの様です。先日、先代の小屋を綺麗にしてゴザを敷いて、庭での作業中に小屋につないで置いたら、中に入って眠っておりましたので、外飼いの予行演習は重ねたいと考えております。




3.その他
 ●散歩
 散歩の練習で近所、近くの公園に出かけますが、不慣れの環境ですから後戻りの抵抗、ゆっくりとしたいものと思います。
 ●齧り
 寝床の縁、下駄箱をかゆいのか、よく齧ります。


 ●音に敏感
 寝ているときは無関心。起きているときは、掃除機の音にも反応してます。
 以上 報告を終わります。




家族となり1年目が経ちました

横浜市  瀧澤 英昭さん

 去年の7月に待望の「こうや」を我が家へ向かい入れました。一目見てまだまだ子犬と言うにも将来の 顔立ちが全く予想できませんでした。それよりも先代も同じ犬種(縄文柴犬)を飼っていたのでこの子がどんな性格になるのかが家族全員気になっていました。  結構思い出っていうのは美化されているものでその気持ちをこの子に重ねてしまうのも辛辣かとも思いましたが…。そんな気持ちで月日が経ち初めて「柴犬 研究会」の「関東地区交流会」に参加した際に、同じ犬種でも性格が全然違うと言うのを目の当たりにして、環境も大きく影響するのだと私自身は感じました。一言で言うと、人の子育てと同じなのかもしれません。生後半年もすると立派?(笑)に体格も成長し、それに伴って性格も 形成されてきました。やっぱり、先代と似ている部分が多くて 家族も最初は名前を誤って呼び違えることもしばしばでした。そんな共通の部分は警戒心が強いと言う事。これは良くも悪くも捉えられてしまうのですが、良い意味で言うと番犬としてしっかりと家を守ってくれる存在になっている反面、他人を受け入れづらい性格も持ち合わせているので滅多なことでは懐きません。そして人を見る洞察力も長けていて、最近歩きスマホなんてニュースになっていますが、こうやもそれを見かけると普段と異なる人の仕草に違和感を感じ取り吠えて警告します。その行為は私達が飼育者として犬を見ている以上に逆に、犬からも私達人間は見られているのだと感じさせられました。しかし、万が一というのもあるので最近 はペット保険なるものが数社から出ていて、月々1,000円程度から加入できるものでも高額治療の負担や他人に対して損害 を与えた場合のケアーまで幅広くサービスを受けられます。その中で獣医さんとの機会が増えてくると思いますが、良き獣医さんにはワンコが自ら行こうとしたりします。例えそうではなくっても、何かしら犬は感じ取って獣医さんを選んでいくでしょ う。たまに、犬の言葉が分かれば良いのに…と感じたりもしますけれどちゃんとコミュニケーションを図っていれば言わんとしている意図が見えてきたりします。ですが、この犬種は飼い主を選ぶものだと思うこともしばしばあります。
 と、言うのも適度な散歩を日課にしてそれを欠かさない飼育環境が必須だと感じます。飼い主の気分なりで飼える室内犬とは大きく隔たりがあるのがこの部分です。最近では7割方が室内犬ばかりですが柴犬は1割程度と圧倒的に飼育数が減ってしまっていうのは悲しい現実です。又、室内犬とは体格差が生じてしまう為リードを付けていても遊ばせたりするのも気を遣います。
 それでもこの犬種の素晴らしいところはなんといっても柴犬本来のスタイルに他なりません。近種にも会った事が無いので珍しがられますし、きつね顔も凛とした表情が好印象を受けます。愛情を持って接すれば家族の一員となって家をしっかりと守ってくれるでしょう。最後に、この素晴らしい犬種を末永く大切に保存していきたいと思っています。

2016年5月24 日生 さくら紅竜号 ♂



日本最大のペットオークション会場を視察して来ました。

顧問  福嶋 武夫さん

 坂田新理事長の所へ「プリペット株式会社のオークション事業部職員」が5月上旬、資料を持参して訪問した。この会社は、ペットをゆりかごから墓場までサポートするため、ペット生体オークション・動物病院・ペット霊園を経営している会社だ。
 訪問目的は「犬繁殖生体の販売および仕入れルートのひとつとしてオークション参加を検討頂けないか…」という内容であった。

 坂田理事長のところへは新任そうそう、他団体から色々な「お誘い」やら業者からの営業活動が来ており、好奇心旺盛な新理事長は一つ一つ真面目に対応しようと考えている様子なので…大変なのでいちいち相手にせず「適当に聞き流した方が得策」とアドバイスしている。しかし今回のペットオークション視察は新理事長が自分一人でも行くが可能ならば同行してほしいとの要請と新理事長に負けない私の「好奇心」で実現した。

 首都圏で毎週2か所で開催、神奈川県高座郡寒川町の会場で待ち合わせた。圏央道の開通で近年著しい発展を遂げている地域のインターチェンジ近くの大型物流倉庫を改装した…と思われる会場にオークション開始の13時より1時間前の正午に待ち合わせた。
 広々とした駐車場が数か所確保されガートマンが誘導していた。想定していたよりも規模が大きく駐車場にはすでにかなりの台数が止まっており関西や東北の遠隔地ナンバー車も有る事に驚いた。

 丁重な案内でオークション開始一時間前の準備中施設を見学させて頂いた。全国各地のブリーダーから送られて来た子犬達が手際よく獣医師数名の診察を受けて写真撮影、リストアツプ、コメント等がパソコン入力されて子犬は専用のダンボール箱へ入れられていく。輸送中に汚れた毛並をシャンプーしブローする施設も備わっている。一頭(一匹)に要する点検時間は30秒前後、こうして視察当日は約300匹がオークションのベルトコンベアーの上に並んだ。準備スタッフの人数の多さと手際よく作業されていく様はまるでオートメーションの生産工場か宅配便の物流センターを見るようで唖然とする。

 会場の様子を写真撮影したい…と希望したが丁重に断られた。「必要な情報はインターネットのホームページで検索できるので、そちらを利用して下さい」との説明だった。
 オークションのシステムはIT化され会場の随所に大型モニターが設置され、希望する犬種や条件が検索できる。「仕入の為」に来場しているペット店経営者やプロ業者達は事務所の受付で渡されたタブレット端末を駆使して仕入れたい犬の情報を照会・検索して当日のオークション対象300匹の中から入札する対象を選定する為に真剣な顔でリストとにらめっこしている。

 隣に座った業者へ声を掛けて話を聞いた、本日の予算は40万円、テリア・トイプードルを中心に3~4頭を仕入る目的で来場。入札対象は5匹に絞り10万円前後で落札を希望している。入札する子犬は全てお客様から購入予約を貰い本日のオークションに臨んでいるとのこと、落札したら翌日には注文主へ連絡し早ければ2~3日後には引き渡す、子犬の販売価格は落札価格の倍以上になるそうだ。落札できるかどうかは生活の掛った極めて重要な課題なのだ。

 オークション開始、会場内へ放送が流れてベルトコンベアーに乗ったダンボール箱が動き出し一番目の箱から係員が子犬を両手に抱えて頭上へ高々と掲げた。モニターにはダンボール箱に入れる前の獣医師診察時に撮影されたアップ写真が掲示され対象犬の条件・最低希望価格がアナンスされる。ブリーダーの希望価格6万円が瞬時に10万円の入札に変わった11万円で落札判定の下る直前に12万円に変わり落札のコールは13万円だった。この間約20秒程度であった。会場にはアナウスの声のみが響き入札する方々はタブレット端末による入力なので掛け声や野次は一切無く静かにオーンションは進行していく。あまりの速さに坂田理事長と私は5~6分位集中して観察しただけでかなり疲れた。

 オークションシステムの見学を終えて案内してくれた担当者へ挨拶した際に「最新落札生体 種類別ランキング」なる資料を頂いた。前月に埼玉県蓮田市と神奈川県寒川町の2か所で取扱いされた柴犬のオークション結果をランキング表示したリストでカラー写真付の柴犬が126頭掲載されている。第一位の赤毛のメスが13万円、126位の赤毛のメスは1万1千円であった。二人で遅めの昼食を摂りながらリストの「審査」欄に目を通し“鼻赤い”“尾先白あり”“尾にミスカラー”“右膝蓋骨形成不全”“斜視”“涙やけ”etc…と云った獣医師のコメントを興味深く眺めた。
 このリストとコメントで仕入犬を選別し入札するペット業者、13 万円と1万1千円の差は何なのか?? 

 今回の視察はインパクトが強く驚く事が多かった。空前のペットブームの背景にこうした供給システムが存在し活況を呈している現実、大変勉強になりました。



柴犬の子犬の育て方(1)

顧問  園田 信行さん

 私は狩猟が趣味で、柴犬たちと一緒に山野を獲物を求め、あちこち駆け巡るようになって48年の歳月が流れた。猟の対象は鳥(ヤマドリ:日本の固有種であり本州、四国、九州に生息する。生息する地域によって羽の色が若干ことなる。(ヤマドリ、ウスアカヤマドリ、シコクヤマドリ、アカヤマドリ)の5亜種に分けられている。)ヤマドリ一辺倒である。狩猟犬(鳥猟犬)として、現在8頭の柴犬たちと私は暮らしている。獲物の少なくなった昨今であるが、柴犬たちは私に獲物のヤマドリを結構出してくれ、短い猟期を楽しませてくれる。
 私は、子供の時から現代まで柴犬だけ、他犬種は飼育したことがないので、比較があまり正確にはできないが、食餌の問題、人と犬との共生、排尿便の問題等々、どれ一つをとりあげて考えても柴犬は飼いやすい犬種だと思う。
 ご存じの方も多いことだろうが、歴史的に見ても柴犬は私たち日本人と共に暮らし始めて一万年以上の積み重ねがあるわけである。――このこと一つとりあげてみても私たちが身近で飼育する犬種としては、一番猟犬に適していると思う。
 以下、私なりに柴犬たちから学び、感じとり、それらを生かして私なりの柴犬の育て方を工夫し、実践してきた。それを思いつくままに述べるので、取捨選択されて柴犬育成の参考にしていただきたい。特に、初めて柴犬を飼育してみたいと思っている人に、わずかでも助けになれば幸いである。

飼育場の基本的な考え方

 最近は、日本中いたる所が開発の波に飲まれて年々その猟場は狭められ、行く先々の猟場での獲物の数も激減している。自然界の鳥獣の減少があたかもハンターのせいのごとき言われ方をされることが多々ある
が、事実は決してそうではなく、人間の都合で乱開発が進んだことがその最たる原因だと思われる。
 「下手な鉄砲数撃ちゃ当たる」と、よく言われるが、1年の間のわずか3カ月間(11月15日〜2月15日)に1人のハンターがそれぞれの仕事の合間を縫って何日出猟できるであろうか?私の場合、週に二日くらいが精一杯である。
 わずか3カ月の猟期中、20 〜 24 日くらいの出猟で、しかもその日数のなかで実際に獲物を鉄砲で仕留められるのは、ごくわずかの日数である。ましてや、乱開発で狭められた猟場には期待するほどの獲物もいない。であるから、決してハンターだけの責任で、自然界の鳥獣が減少したのではないことがわかるというものである。
 年間を通して、猟期はわずか三カ月だけである。家庭で過ごす期間のほうがずっと長いわけである。したがって、狩猟犬としての躾や学習も当然大切なことであるが、私や私の家族、そして私の住んでいる周りの人や環境のなかで家庭犬として過ごす日々がはるかに多いことを考えて、私は自分の犬たちを育てる。
 私たちが今日狩猟に使役している柴犬たちは、いままでこの「犬の保存」や「研究育成」に力を注いでいただいた多くの先輩や関係者のお陰で、血統的に狩猟犬としての猟能を持ち合わせていない犬はまずいない、と私は確信するようになった。
 家庭犬として人との共生がきちんとできるようになった犬たちなら、少し遅めに猟場に連れ出しても、あまり時や労力を費やさずとも、狩猟犬(私の場合は鳥猟犬)として育っていくものである。
 私の場合、子犬期の柴犬(生後50日〜6カ月くらい)の育て方では、狩猟犬としての躾や学習は殆どしない。そのかわり、家庭の中や、周りの環境(私の住居の周辺半径2kmくらい)の中での躾や学習にずいぶん時間を使う。
 その過程で私と柴犬たちとの間には非常に密度の濃い付き合いが生じ、人も犬もお互いを知る度合が増して、より一層深い信頼関係が出来上がり、一緒に暮らすうえで人と犬も非常に楽しくなる。
 目まぐるしいほどの現代社会を人と犬が共生していくには、これからもますます、家庭犬としての育成の度合が求められるものと思われる。

子犬の入手法の一例

 初めて柴犬を飼育するために、まず手始めにしなければならないことは、子犬の入手であるが、譲渡を主としているペット店からにするか、あるいは柴犬を専門に飼育作出し、柴犬そのものを時間をかけて研究し追求しているような所から入手するかを決定することである。
 私はいままでペット店から入手したことはなく、後者の柴犬専門に作出している所から入手している。こういう所は、作出に携わった人間に直接会えていろいろな話が聞けるし、入手予定の子犬の両親犬も見られるからである。
 さらに、こういう所は大なり小なり柴犬の会なる組織を運営しているので、初めて柴犬を飼育するには後日、自分の柴犬に関するいろいろな問題点を解決、勉強するにはうってつけだと思う。できれば、その会の会員になっておくのも一計であろう。他の会員とのつながりや、会が発行する会報などは、こと柴犬専門の情報であるから、以後の飼育の励みになるし、勉強のうえにも役立つわけである。
 ちなみに、現在、最も私の目的に沿っている「柴犬研究会(事務局)〒250-0117 神奈川県南足柄市塚原4871-45 電話0465-74-4684」
 子犬の入手が決定したら、子犬を日々育成していく場所と寝箱の準備が必要になる。柴犬は小型犬であるので比較的小さなスペースで飼うことができる。庭にでも余地があれば、犬が成長してからのことを考慮して、幅80cm、奥行き1m 20cm、高さ1m40cmくらいの屋根付き犬舎を用意する。
 できれば犬舎の壁部分をしっかりとした、風雨が入らないものとし、前方と左右どちらかが二方向から開閉できるようにし、さらに犬舎の中を二分する。奥のほうに奥行き45cm、高さ60cmの寝箱部分を作る。寝箱の入口はやや狭くしておく(中を掃除しやすくする工夫のひとつとして、開閉できる仕切りにしておくのもよいだろう)。
 できれば犬舎の素材は鉄製でなく、木質のほうがよいと思う。人の住空間がそうであるように、例え犬舎といえどもできるだけ木を利用し、床や壁、天井などもせめて合板(ベニヤ板)の類で仕上げておく。
 鉄製のものは、一度作ると後々作り変えることがなかなか難しいし、わが家へ来た子犬がその一生を終えるまでその中で過ごすわけであるから、できるだけ犬の気持ちが和らぐ材質がよいと思う。床も土やコンクリートにせず、必ず木質系のものにする。土のままであると、日常の犬の生活サイクルの中でいろいろなことが起きた場合に対処しにくいし、不衛生にもなりがちだからである。コンクリートの床も同様であるし、なにより夏の日差しの照り返しや冬季の冷え込みが極端で、犬に与える精神的な影響もよくないように思える。

排泄対策と躾

 犬の排泄は、私の所では犬舎の中ではさせないようにし、必ず運動時か散歩時に外で済ませるように躾けている。そのように躾けておくと、犬は元来、清潔好きであるから子犬と言えども犬舎の中を汚すことはない。
 とは言え、子犬期は割合頻繁に排泄をするので、粗相することも多いから、私の所では犬舎の床に新聞紙を数枚重ねて敷き詰めておく。子犬の排泄物くらいならこれで床まで汚すことなく、簡単に片付けることができる。成犬たちの部屋も、冬場は新聞紙をやや厚めに敷いてやる。排泄対策のほかに、寒さ対策も兼ねるわけである。
 それでも汚す場合もあるから、台所用の漂白剤を水で薄めたものを用い、拭き取る。
 犬が粗相して、犬舎を汚しても、私はあまり強く叱ることはしない。こういうとき、あまり強く叱ると、長時間留守をした場合などに犬は排尿便を我慢するようになり、犬の健康上よくないので、犬の生理的欲求に人が合わせることができないときは、犬舎の中で済ませることができるように躾けておく。
 我慢できずに犬が犬舎の中で排泄するようになると、それがしょっちゅう続くのでは、と、心配になるが、一度、犬舎の外で済ませる躾が身についた犬はそういう心配はない。また、粗相をしても元来、清潔好きな犬種であるから、排泄物で自分の体を汚したりすることもなく、寝箱からできるだけ遠く、邪魔にならない場所を選んで済ましてある。
 私の所では、私が留守のときは家内が家にいるので、犬たち(現在、柴犬8頭飼育中)の排泄のサイクルに合わせて外で済ませるようにしている。少し慣れてくると、犬の鳴き声で排泄の催促がわかるから、その声で対処してやる。
 とは言え、家人が留守がちになる場合は、トイレ(35cm角、深さ4〜5cmの箱の中に新聞紙などをやや厚めに敷いたもの)を用意しておき、それを使わせるように躾けておく。
 子犬期によく観察していると、子犬の落ち着かない様子がわかるようになるので、その動きを子犬がし始めたらそのトイレに誘導し、「オシッコ、オシッコ」などとはっきりした声で話すようにする。この繰り返しを10 〜 15日間くらい続けてやると、自然に子犬も覚えるようである。このように、飼育する人の生活サイクルに合わせて犬の生活習慣も工夫していく。

(つづく)

(園田犬舎、6頭の雌犬)




天野さんの残して逝ったもの
(縄文柴犬へ…天野さんの愛の言葉)

事務局  坂田 二郎

 このコーナーは武藤副理事長の提案により、天野さんが8年間、19 冊の会報へ残した「編集後記」をピックアップしてみました。
 天野さんを偲び、会員の皆さんが改めて読み返されることをお願い申し上げます。

2008 年11 月10 日  No.104
 駆け足で秋が駆け抜けていくようです。会報の編集に当たることになり、一刻も早く新しい会報を届けねば・・と思いつつ、諸事情により、かくも遅くなりましたこと申し訳なく思います。また、会報編集なるものの経験もなく、皆さんのご期待に添えるようなものは無理かと思いますが、会員の皆様のご指導を得て、改善を重ねてまいりたいと思います。今後の編集の方針等は編集会議で論議されていくものと思いますが、皆様のご意見を担当のほうへお寄せ下さい。当面、前述のような内容での編集を考えています。ご協力お願い申し上げます。


2009 年2月22 日  No.105
 今号は、リニューアル第二号として、事務局から会員の方々に執筆をお願いしましたが、ご覧いただいた通り多岐に渡る内容のご寄稿をいただきました。この多士済々ぶりこそ、柴犬研究会の懐の深さかなと、編集を通して痛感した次第です。今後も「柴犬の魅力」を次々に発信し、会の活性化に繋げたいと思います。
 皆さまのご寄稿をお待ちしております。


2009 年6月21 日  No.106
 書店でみていますと、動物ものなど、明るく可愛らしい写真集が人気のようです。 暗い世相と対極的な、明るい癒し系が受けているのでしょうか。
 予想を遥かに上回るご寄稿をいただき感謝しております。(頁数の制約のため、一部を連載にします)
 原稿を読み、写真を眺めて、皆様から様々な教訓と励ましをいただき、そのうえ、愉悦まで味わえるのは、まさに、編集者冥利に尽きるのではないかとおもいます。次号も皆さまのご寄稿を心よりお待ちします。


2009 年9月21 日  No.107
 分類学上の犬の正式な所属は、「脊索動物門哺乳類綱ネコ目イヌ科イヌ属」だそうです。
 犬が猫の一種とは、愛犬家の一人として承服しがたい。狗(間者)、犬畜生、犬死、犬侍...と、犬のつく語には悪い意味のものが多い、犬が知れば、卑しめ、辱めに牙をむくことでしょう。
 今号も、多くのご寄稿を頂き盛沢山な内容になりました。次号は12月発行の予定です。
 より充実した会報をお届けするために、皆さまのご寄稿をお待ちします。


2009 年12 月20 日  No.108
 11月1日から関東、関西、東海(中部)支部の交流会が3週続きましたので、今号は図らずも支部交流会特集になりました。
 会員の皆様は、会報「柴犬」をどう受け止めておられるのか、どのような記事が支持され読まれているのか、また中期的展望として、幅広い会員の方々のコミュニケーション誌として、どういう機能をもたせるべきなのか、将来の課題としてぜひ会員の皆様のご意見をお聞きし、編集方針を弾力的に考え、多くの会員の声が誌面に反映できる「柴犬」にしてゆけたら…。また、明確なテーマのある特集号も作りたいと思っております。
 横浜市の古武彌宏さんから会報に関するご提案(お便りコーナー参照)をいただいています。ぜひ、皆様もご意見ご要望をお寄せください。


2010 年2月20 日  No.109
 今回も多くのご寄稿を賜り、心より感謝いたします。バラエティに富む会誌になったのでは?と思います。“生老病死”という言葉が示すように、人はこの世に生をうけ、人生を享受し、あるいは不遇な人生を送ろうと、やがて老い、病に冒され、生涯
を閉じる。犬とて同じでしょう。
 戦前、人生五十年と言われた寿命が今や八十年に延びました。
 人と犬の一生の長短は判りますが、それにしても犬の寿命はさほど延びていないように感じます。何故でしょうか。
 編集担当として、今後も魅力あふれる会報を目指して、会員の皆さまと意識を共有してまいりたいと思います。


2010 年9月25 日  No.110
 今年度から会報「柴犬」は年2回発行になりました。次号は2月10 日発行予定です。
 「柴犬」では常時原稿を募集しています。愛犬に関連する話題、飼育方法の主張、エッセイ、掲載記事に関するコメントなどをお寄せください。
 郵送の場合、写真プリントがあれば一緒に送ってください。原稿をお待ちします。
 皆さまの原稿を拝見していて、人それぞれに合った飼育、自分で納得のいく愛犬との共生…豊饒な愛犬人生を垣間見る思いがし、大変参考になりました。


2011 年2月1日  No.111
 旧石器時代の人間は、どのようにして犬と巡り会ったのだろう。馬や牛などの家畜は、人間がその動物を囲い込み、すべて囚われの身という道を経て家畜になった。犬は人間と一緒に暮らして人間の友達になった。
 動物行動学のコンラート・ローレンツは「ソロモンの指環」に、犬の祖先たちは、人間のおこぼれをあてにして人間の周りにつきまとっているうちにけものに新たな関心をもつようになり、けものの居所を人間に知らせることを始めた。人間と犬とのこの古い結びつきが「両者の自発意志に基づいてなんの強制もなく契約された」ことに心なごむといっている。「犬こそほんとうに忠実な恭順な友である」と、書いている。
 今後も会報を通じて柴犬の魅力を発信し、会の活性化に繋げたいと思います。ご協力をお願いします。


2011 年6月26 日  No.112
 6月12日付の河北新報の大津波の体験を記録するコーナー「私が見た大津波」に100人の命を救った犬の話が掲載されています。仙台市の住宅地に住み津波に遭った伊藤敬さんの談話を簡略に紹介します。
 地震の後、避難所の小学校に着くと、茶色の犬が吠えながら走っていた。柴犬でしょうか、吠えている先を見ると、黒い帯と白い煙が広がっていた。津波だった。
 急いで妻と娘が避難している体育館へ「津波が来るぞ!」と、叫びながら走った。
避難していた児童や住民約100人は、その声に反応して校舎2階に向った。
 伊藤さんも孫2人を抱え、妻の背を押し階段を上った。その後、体育館と校舎1階は水没。あのまま体育館にいたら助からなかった。学校に着くのが少し早ければ、校舎に遮られ津波は見えなかった。遅ければ濁流にのまれていた。
 「あの犬が恩人です。残念なのは、犬も飼い主も無事だったかわからないこと、できることならもう一度会いたい」と語っています。


2012 年1月31 日  No.113
 前号でお伝えしました「石巻動物救護センター」が9月末日をもって閉鎖されました。
 震災の傷跡は未だに充分すぎるほど残っていますが、仮設住宅の完成、傷んだ住宅の補修も進み、被災者が動物たちと一緒に住める環境が整ってきました。センターで預かっていた飼主不明の動物たちもそれぞれ新しい伴侶のもとで新たな生活を始めています。


2012 年6月30 日  No.114
 園田理事長が「柴犬とのくらしとしつけ」の中で犬の擬人化について戒められていますが、人として生きる私達が犬の世界を理解することは容易ではありません。人と犬では環世界が異なります。その結果、人が犬の行動を誤解することになりがちで、人は犬の見方から世界を見ていません。人が犬と絆を形成するうえで最善の方法は擬人化を避けることで、私達も犬の内側をのぞきこみ、「犬から見た世界」がどんなものか想像してみる必要をA.ホロウイッツ「犬から見た世界」白揚社は指摘しています。ご一読をお勧めします。


2013 年1月20 日  No.115
 みなさまもご存知のとおり、犬はみんな個性的で違った自己主張をします。
 文章を書くのが億劫な方は、愛犬の日常のさまざまな仕草を写真に撮り、短い説明を付けて、お送りいただけませんでしょうか。
 会報紙上でご紹介します。


2013 年6月30 日  No.116
 昭和6年に秋田犬、9年に甲斐犬、紀州犬、越ノ犬、11 年柴犬、12 年土佐犬(四国犬)、北海道犬が国の天然記念物に指定されました。
 秋田・甲斐・紀州・土佐・北海道と、それぞれ地名が付いていますが、柴犬だけ「シバイヌ」というのはなぜでしょうか。
 広辞苑によれば、「柴」は山野に生える小さい雑木と記されています。
 中部山岳地帯(岐阜県~長野県)から中国山脈(鳥取)に至る広範な地域で、鳥、小獣の狩猟犬として飼われていたから、この名称が付いたのでしょうか。
 あるいは、小型で雑木の僅かな隙間を敏捷に駆け抜ける才能を持っていたからでしょうか。


2014 年2月2日  No.117
 この犬とともに生きていこう。そう決めた日を覚えていますか? どのような動機で…優美な顔、かしこそうな目、美しい姿形、可愛い、人懐っこい、子どもの遊び相手、運動不足解消のため、防犯のため、衝動買い…と、千差万別でしょうが、愛犬をめぐる出会い、日々の喜び、悲しい別れについて会員の皆様のご寄稿を心よりお待ちします。


2014 年6月30 日  No.118
 中川さんの「涼介を看取って」をパソコンにインプットしている時に、さまざまな想いが心をよぎりました。人間は二つの時間の中で生きている。どんどん先へ先へ流れ去る時間、古い写真や記憶のようにいつまでも変わらず止まった時間もある。忘れられない、傷ついたまま変わらない心の中の情景もある。ゲーテは戯曲「ファウスト」の中で「時よ止まれ、お前は美しい」と言っている。
 発病の直前までの元気で美しい姿のまま、時が止まっていればとも思うが、それでも愛犬の病との闘いに心血を注ぐ飼主の智恵と努力は限りなく崇高で美しいと感じました。


2015 年3月7日  No.119
 ペットフード協会の2014年調査では全犬種の犬の平均寿命は14.2歳で年々過去最長を更新しているそうです。柴犬はもっと永い。一方飼主の方は4人に1人は65歳以上となり、高齢者世帯が増え続ける一方です。一昨年施行された改正動物愛護管理法では、飼主がペットの面倒を最後までみる責任が明文化された。
 つまり、飼主にもペットが高齢になっても飼い続ける覚悟と智恵が必要になる。
 人間と同様にペットのデイケア施設や訪問介護サービスも徐々に広がっています。高齢の犬や猫を終生預かるペット版の老人ホーム「東京ペットホーム」(東京都大田区)。さてさて、皆様はどうされますか?


2015 年7月5日  No.120
 犬は人間の最良の友である。わが国でも縄文時代から人と暮らしていたと言われる。いまわが国の犬の総数は800万頭におよぶと言われている。
 いまから1,300年前の奈良時代に完成したわが国最古の正史「日本書紀」巻六に犬が登場する。丹波国の住人の飼い犬が山の狢(ムジナ)を食い殺した。ムジナの腹から勾玉がでてきたので献上したとのこと。この犬の名を「足往・あゆき」としるしている。
 当時、すでに飼い犬に名前を付けていたことが驚きで、日本最古の犬名だが、アユキならいまの世でも通用しそう。人名は時代とともにどんどん変わるが犬の名は案外変わらないのだろうか?


2016 年1月31 日  No.121
 愛犬へのせつせつたる挽歌。人間以上に人間に近く生きて、死にゆくものに胸をうたれる。


2016 年6月3日  No.122
 今春の理事会で紹介しましたが、昨年末に刊行されました「日本の犬」(東京大学出版会)を読んで、長年の蒙をひらかれました。日頃、「縄文柴犬」と口にしながら、今一つ釈然としないでいました。縄文時代と言えば1万年前後に始まり紀元前4、5世紀までの古代であり、途方もない長いスパンの間に頻繁に交雑がない筈はない…と思っていましたが、近年の遺伝子研究の進歩により、遺伝子系統樹からみて、①マイクロサテライト配列を用いた研究、②SNPs情報を用いた研究、③ミトコンドリアDNA配列を用いた研究、④ドーパミン受容体D4遺伝子の多型を用いた研究の成果により日本犬は世界でもっともオオカミに近い犬であることが示され、DNA 解析による比較で遺伝的多様性が最も低いのが柴犬で交雑が余り行われていないことが立証され縄文柴犬に確信が持てました。


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