「エコプラント」とは、室内の空気をきれいにする植物の事。 私達の住んでいる建物は、アルミサッシの開発や断熱材などの施工によりかなり気密性が高くなっています。 隙間のない建物は、エネルギーの消費を減らしてくれますが、室内の汚れた空気(湿気、熱気、におい等)を除去するためには換気が必要不可欠となります。また、建材や内装材、家具などの多くの場合、天然木に代わって圧縮材や合成建材などが使用されています。ノンホルムタイプという建材でも接着剤や塗料などの使用によって、化学物質が含まれる場合がほとんどです。
こういった揮発性有機化学物質でよく知られているのが、
ホルムアルデヒト、他にアンモニア、キシレン、トルエン、ベンゼン、クロロホルムなど数百種にもおよび、シックハウス症候群を引き起こします。 このような中、化学物質を抑えた物や吸着させるものなどの開発、行政による対策などが進んできていますが、無くすのはほぼ不可能であり、室外も汚染されつつある「住まい」では新鮮な空気を取り入れるには、「空気清浄機」か「エコプラント」が大変有効です。


  
マイナスイオンがよく発生するということで、「サンセベリア」がブームとなりました。 これは「サンセベリア」の夜酸素を作って放出し、二酸化炭素を吸収するという、ほとんど全ての植物にみられない特性のためであり、この植物だけがマイナスイオンを出すわけではなく、他の陸上植物だって出してるんです。このマイナスイオンを発生させる「サンセベリア」だけが注目されていますが、実は室内の空気環境をよくする植物は他にもたくさんあるのです。 
  
NASA(アメリカ航空宇宙局)では閉ざされた空間の中で植物が与える効果について長い間研究が進められていて、いろいろな効果が確認されています。その研究により、新築住宅やリフォーム後の住宅で発生している気化した化学物質を原因とする「シックハウス症候群」を改善させる手立てとして、植物が有効であることが実証されました。ホルムアルデヒト、アンモニア、キシレン、トルエン、ベンゼン、クロロホルム、アルコールなど建材などに多く使われている化学物質の有害な気化物質を吸着させる働き、蒸散・蒸発作用による室内環境改善の働き、呼吸によって排出されたガスを改善させる働き、目の疲れを軽減したり、リラクゼーション効果などその効用は多岐にわたります。 その仕組みは、まず葉の気孔から取り入れた空気に含まれた有毒ガスの約30%は葉が吸収し、残りの約70%は根に運ばれます。それを根のまわりに共生する微生物が吸収分解し無毒化します。その他、カビの胞子及び浮遊微生物を抑制するフィトケミカルという化学物質を葉から放出し空気をきれいにする効果の他、マイナスイオンの放出、葉からの蒸散水分の調整による自然の加湿効果があり、住宅の中に取り入れることで自然の空気清浄機の役割を果たすのです。 具体的にどんな植物がどのような有害物質を吸着させる働きがあるかまとめてみました。

飾るだけの観葉植物ではなく、生活環境改善・健康維持のために必要な物としてもう一度見直してみる事も必要でしょう


           <室内の空気をきれいにする植物たち>
 

ホルムアルデヒトは接着剤、カーテン類、フローリング材、合板、ステインニス、スーパー袋、椅子張り剤、ペーパータオル、パーマネント加工の衣類などに使われています。

ボストンタマシダ、ドラセナ・デレンシス“ジャネット・クレイグ”、ネフロレピス・オブリテラータ、インドゴムノキ、ヘデラ、ベンジャミン、
スパティフィラム、アレカヤシ、ドラセナ・フレグランス“マッサンゲアナ”(幸福の木)、カンノンチク、ドラセナ・デレメンシス“ワーネッキ”、デンドロビウム、テーブルヤシ

                                   
[吸着率の高いものから順番に並んでいます ]

キシレン/トルエンは接着剤、PC(コンピュータ)、ファクシミリ、フローリング材、ペンキ、ステインニス、壁張り剤などに使われています。

アレカヤシ、ファレノプシス、ディフェンバキア“カミーラ”、デンドロビウム、ネフロレピス・オブリテラータ、アンスリウム、ドラセナ・フレグランス“マッサンゲアナ”(幸福の木)、フィカス・ベンジャミン、
スパティフィラム 

                                  
 [吸着率の高いものから順番に並んでいます]

アンモニアは掃除用洗剤、ファクシミリ、ペット等のトイレ

カンノンチク、アンスリウム、デンドロビウム、テーブルヤシ、シンゴニウム、
スパティフィラム、ドラセナ・フレグランス“マッサンゲアナ”(幸福の木)

                                   
[吸着率の高いものから順番に並んでいます]

エコプラント総合評価  (有害化学物質除去能力、管理のしやすさ、蒸散率、害虫に対する抵抗力

アレカヤシ、カンノンチク、カマエドレア・ザイフリッツィー、インドゴムノキ、ドラセナ・デレメンシス“ジャネット・クレイグ”、ヘデラ・ヘリックス、シンノウヤシ、ボストンタマシダ、
スパティフィラム、ドラセナ・フレグランス“マッサンゲアナ”(幸福の木)、ポトス、ネフロレピス・オブリテラータ、ドラセナ・デレメンシス“ワーネッキー”、ドラセナ・マルギナータ、シンゴニウム、ディフェンバキア“エキゾチカ・コンパクタ”、テーブルヤシ、フィカス・ベンジャミン
                   
                                
参考文献  B.C.ウォルヴァートン著「エコ・プラント」

         

→ 浄化作用のある植物と有害物質の関係