「フェアリーテイル」(上・下)

レイモンド・E・フィースト著ハヤカワFT文庫
上巻 660円 ISBN4-15-020222-2
下巻 620円 ISBN4-15-020223-0
 以前、ハードカバーで出ていた作品の文庫化。この人は「リフトウォー・サーガ」という異世界ファンタジーが同じハヤカワFT文庫から出ているので、そっちの方で知っている人の方が多いでしょうね。今回、文庫化を機に読んでみたわけですが・・・アメリカの田舎町に引っ越してきた作家とその家族が、森の中の秘密に遭遇し、あるものを掘り当てることで一気に超常現象に巻き込まれていくという・・・巻末の解説にもあるとおりちょっと、スティーブン・キングを思わせる、というか直前にキング「トミーノッカーズ」を読んでいたために何かプロットの類似点が目についてしまいました。(ちなみに掘り出した「あるもの」とはUFOではありません。念のため)  ただ、全体を包む雰囲気は全然違います。「トミーノッカーズ」がパルプ雑誌やB級SF映画といった、いわばアメリカ固有の文化の上にたって異世界を描こうとしているのに対しフィーストは「移民の国アメリカ」という側面を巧みに利用しヨーロッパの妖精物語をアメリカに持ち込んでいます。また、それに付随するものかもしれないけど、登場人物の知性というか、文化度も違う。「フェアリーテイル」の登場人物の方がやたらと金持ちである。(笑)馬とか持ってるし。「トミーノッカーズ」の方が貧乏とはいわないがひなびている。(登場人物が金持ちなのが、作者の願望の現れだったらなんかいやだな)  自然が持つ原初のエネルギーを体現したものとしての妖精の力強い描写が見事である。彼らを描くときホラーの手法が用いられるのも無理のないことでしょう。シェイクスピアの戯曲、子供向けの童話、ディズニーのアニメなどで骨抜きにされる前、中世の農民たちはやはり妖精たちを畏怖の目で眺めたでしょうから。


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