2003 .4 人工授精について

人工授精には、より多くの精子を卵子のもとへ近づけるという意味があります。

人工授精が適している障害
1.

精子の数が少ない。奇形精子が多い

2.

精子が運動しているのに、回転運動ばかりで直進運動が少なく、受精可能精子が少ない。

3.

抗精子抗体が存在し、精子の運動が阻害される場合や、流産を繰り返す場合。
4.

セックスがうまく出来ない場合。(機能的、時間的、物理的)

5.

帝王切開などの傷や、筋腫やポリープ等の物理的な障害物で精子の上向性が阻害されている時

6.

炎症や初期子宮癌などで頚管部に手術を受け、頚管粘液が減少或いは分泌不良になっている時

7.

精液中に細菌が存在する場合。
(子宮や卵管に炎症を起こすので、洗浄して行われる人工授精のほうがそのリスクを減らせる。)

 などの場合に効力を発揮しますが、 以下に示すようなデメリットもあります。
1.

旧来の原液注入法では、感染を起こす。
(当院ではパーコールやスイムアップ、或いは洗浄のみを性状にあわせ選択し行います)

2.

精液中のプロスタグランジンにて、子宮や卵管が痙攣し、疼痛を起こす場合がある。

よくある質問で、人工授精だと普通じゃない子供が出来るのではというものがありますが、そんなことは全くありません。厳密に言えば、そのカップルが作りうる赤ちゃんに、セックスと人工授精に差は起こらないのです。
精子を採取する場合の注意事項
1.

手や性器を清潔にして採取する

2.

直に採取容器にとる
(過去に口淫で採取された方や、入れ物の口が小さいのでラップに取ってから入れた方がいらっしゃいますが、精子が運動しなくなります。)

3.

採取後ふたをしっかり締め、ポケットか懐に入れて持参し、当院スタッフに手渡す。
(冷やしても温まっても精子には良くありません。渡された精子は、手渡し確認され、患者さんに戻すまで点呼確認されて戻ってきます。受け取ったらすぐに保温器に保存します。カウンターに名前を書いて置いてあっても、手渡しで受け取った精子でなければ破棄します。つまらないことですが、とても大事な事ですので、ご了承下さい。)
4.

できればオーガニスムを迎えそうになったら一度一分休憩し、それから再度マスターベーションして採取して下さい。(より多量の精子が排出されます)


人工授精は妊娠するための治療法ですが、人工授精レベルで妊娠できるか否かのテストでもあります。人工授精で妊娠できる方の80%は大体5回までに妊娠されます。(5回という回数はご主人の季節変動や、卵子の質の変化を考えると妥当な回数です。もちろん中には16回目の人工授精で妊娠された方もいらっしゃいますが、やはり受精能力がない精子や卵子の方や、卵管が妊娠に耐えない方は妊娠しにくいようです。)その後の体外受精も含めた方針は、ご相談の上進めます。治療方針はアドバイスしますが、患者さん自身に選択していただきますので、よくお考えください。


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