2003 .1 クラミジア感染症について

最近の不妊治療において、子宮内膜症の次ぐらいに遭遇することが多いのがクラミジア感染症です。元来眼科の問題だったのが、性器感染症になり、卵管狭窄や閉塞を起こし、しばし体外受精の対象になることが多いのです。 だいたい4人の異性と性交すれば感染したと思っても良いと思います。

検査方法
 1.子宮の出口を綿棒でこすって、そこにクラミジアの抗原があるかを調べる方法

 2.血液でクラミジアに対する抗体が血液中に上昇しているかを見る方法

 3.尿中にクラミジアがいるか否かを見る方法


 一般に1.の方法で検査して感染の有無を言われる先生がありますが、子宮の出口に存在するということは、男性に性交で感染させられた状態を意味しますが、抗原が存在しない場合でも実際に自身に感染が無いことを意味しません。何故ならば、卵管まで進入してしまった後、他の感染症治療(風邪の治療など)のついでに膣内のクラミジアのみ治癒し、卵管内に生息している場合があるからです。 従って、完全に治癒したか否かは血液検査を3から4ヵ月後に行う必要があります。でないと子宮口のクラミジアは消えても卵管には生息し、徐々に卵管が閉塞して行きます。 そういったケースは多く存在し、治療の過程でクラミジアが治癒しても、血液の抗体価は後から下がってくるから抗体価が下がらないとしていました。そういった状態も確かに存在しますが、通常の場合は4ヶ月も待てば、治癒していれば抗体価は陰性化してきます。

しかし、薬剤治療をしっかりしても抗体価が下降しない場合が多々あります。それに対しては、薬剤に対し耐性を得たために効かないと説明されてきました。確かにそういったケースもあります。しかし、よくよく観察したところ、抗体価の下降しない方たちは、既に片方か両側の卵管が閉塞してしまっている場合が殆どです。つまり閉塞して溜嚢腫になっているために通常の薬剤の量や期間では無効と考えられるのです。 事実、通水などで両側が少しでも通過する人は、通水と同時に治療を行えば抗体価は下降します。片側でも閉塞があると抗体価はマイナスになる事は殆どありません。

以上から、クラミジア感染症の疑われる人は血液検査を行い、早めに通水などを行うと同時に薬剤治療を平行して行い、数ヵ月後に再度血液検査をすることをお勧めします。

 最後に、クラミジア感染は性交感染症ですが、セックス以外でも感染しますので、夫婦喧嘩のもとにしないほうが良いですよ。大きな銭湯で下着が置いてあるようなところや、24時間営業して消毒をする暇もないようなところは要注意です。実際、当院でも銭湯好きな人の精液から時々、セラチア、黄色ブドウ球菌などの病原性の強い菌が検出されています。アメリカでは、妊婦は湯船につからない様に指導しているようです。


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