| ■あらすじ― 遺跡調査隊の用心棒の仕事にいったウルが消息を絶った。彼の身を案じた静流たちは、<ファウンダー>の城で知られる外辺境の森へと赴いた。しかし、そこで彼女らがみたのは、全滅した調査隊の惨状だった。絶望に暮れる3人もまた、仕掛けられた罠により、バラバラにされてしまう。 森の奥深く、アリシアはひとりさまよっていた。その耳に美しい歌声が聞こえてきた。誘われるように進む彼女の前に、世にも美しい少女・シーラが現れる。その妖しい魅力にとりつかれ、近くの館に連れ込まれたアリシアへシーラが襲いかかった。たおやかな容姿からは想像もできぬ、淫蕩さで少女を篭絡し、さらにうごめく巨大な植物に犯させる。休む間も与えられぬ陵辱の果てに気を失ったアリシアを前に、シ
ーラはその正体を露にした。彼女は、<ファウンダー>―吸血鬼だったのだ。そこへ静流が助けに飛び込んでくるが、不死身の怪物を相手に、さしもの彼女も苦戦する。血を吸われながらも、なんとかシーラを滅ぼす。しかし、重傷を負った彼女の命は大量の出血のため、尽きようとしていた。そこへシーラの兄・ローゼンベルグ伯爵が現れる。静流の美しさ、闘志が気に入った彼は、妻にせんと静流の血を吸う。魂まで汚される汚辱感とそれを上回る快感の中、静流は意識を失った。伯爵が、彼女を連れ去ろうとした時、今度は死んだと思われていたウルが現れる。隙を衝かれて負傷した伯爵は、アリシアをさらって逃げていった。 このままでは、静流は吸血鬼と化してしまう―苦悩するウル。そして、伯爵の僕とされたアリシア相手に苦戦するレオン。 強大な魔力、不死身の肉体……かつてない強敵を相手に、絶体絶命の窮地に追い込まれた彼らに、逆転のチャンスはあるのか? 静流は、このまま吸血鬼へと堕ちていくのか―?
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●というワケで、足掛け2年掛かりとなった、シリーズ第三作。今回は、ちょっと赴きをかえて、「外伝」的ストーリーとなってます。いきなり、ウルが危機一髪になったり、アリシアや静流まで吸血されるなど、終始押されっぱなしの展開。バトルもシリーズ最高レベルの強敵を相手にヒートアップ。美と流血、超パワーと秘技の激突―うーん、燃えるなァ。できるなら、もう少し伯爵のキャラを書きこみたかったのですが・・・・・・。
固定したイメージを持ちたくないという理由で、基本的にはナポレオン文庫ではシリーズ物はやらない―のに、三作も書くんだから我ながらエエ根性しとるなぁ。でも、書きやすいのよ、実際。キャラや世界作る手間が省けるし、こちら向きのアイディアばっか出るんだもん。
●こんなに続けるつもりはなかったのに、なんでだろーね。またまた続編のアイディアができた。今度は海が舞台。うーん、できるかねぇ。それとは別個に、スピンオフ企画がある。「秘宝ハンター」の世界を使って、新たなキャラによるストーリーを準備中。多分、次はこれをヤルと思う。ちょっとだけ言うと、色黒美少女と詰め襟美少年が賞金首の双子エルフと対決?
―あらすじ―
たおやかな腕がのばされ、細い指が透きとおったガラスの呼び鈴を摘まんだ。 優雅に振られ、可憐な音が闇に響いた。 すると、涼やかな音に目覚めたように部屋の奥で気配が揺れた。 低い音が闇の底で震え、細長いモノが床を這ってのびてきた。
−それは無数の触手、いや蔓だった。
「ひさしぶりに、生きのいい獲物を味あわせてあげるわ……いらっしゃい」
シーラは上体を起こして、うねくる蔓の群れへ微笑みかけた。
冷たくヌメヌメする感触に我にかえったアリシアが暴れるが、生きたロープの力は強く、抵抗をものともせず大の字に押さえつけてしまう。
蔓の群れは不気味に蠢き、はだけられた股間へ這い寄っていった。
「ふにぁん……やだぁ、気持ちワルイ……やめてぇ……ひッ、熱いッ!
熱いよぉ……」
愛らしい恥丘を蔓の先端が撫でまわしたとたん、アリシアは悲鳴をあげて裸身を反りかえらせた。蔓からにじむ粘液が塗りつけられたところから、薄い煙がたち昇っている。かすかに漂う刺激臭は酸の匂いだった。
「そのコはね、女の子のソコの毛が大好物なの……消化液で溶かしてから吸収するのよ」
シーラの言葉どおり、黄色っぽい粘液はアリシアの柔らかく萌えた飾り毛をジクジクと溶かしていった。陽灼けの痕も白い内股のあわいに咲いた花は、隠すものがないだけにいっそう可憐で、痛々しかった。
「ふふふ、物欲しそうにヨダレを垂らしちゃって。可愛いこと。
今度は、これでアリシアのココを可愛がってあげるわ」
シーラは数本の蔓をまとめて手にして、1本にしごくようにしてよじり寄りあわせた。
そして、グロテクスなそれを開ききったアリシアの股の間へ差し入れ、充血した秘肉へ擦りつけていった。
弄られる秘芯からほとばしる快感と、巨大なおぞましいモノで貫かれる恐ろしさに、喉を絞りながら腰をうねらせる。歯を鳴らして怯え竦む獲物の泣き声を心地よさげに聞きながら、シーラは触手の太胴をあやすように撫でさすった。
「いいコね……ここに入って、この子猫ちゃんをよがり狂わせてあげなさい」
命じられるまま、触手は蛇のようにクネって狭い胎内へと侵入していった。
「ひぃーッ! 痛ッ、痛い……いやぁ、壊れちゃうぅ……抜いて、お願い。くぅーッ……」
硬い秘腔を無理やり押しひろげられる激痛にしなやかな背中が反りかえり、悲鳴が噴きこぼれた。
「あらあら、しょうがないコね……。こんな太くちゃ、子猫ちゃんの小さなお口には入らないわよね……」
冷酷な微笑みを浮かべたシーラは蠢く触手の束を握り、無理やり秘口の奥までねじこんだ。
「痛いッ……や、やめて……身体が……裂けちゃうよぉ……痛ッ、痛いッ……」
うわ言のように苦痛を訴える口へも触手の群れが入りこみ、塞いだ。ヌメつく大きな分厚い葉もザワザワと蠢き出し、瑞々しい肌を擦りまわす。葉は、あたかも巨大な舌のように小柄な裸身を舐めまわし、甘酸っぱい粘液でベトベトに汚していった。
触手は子宮や喉の奥など通常あり得ない奥深くまで犯し、幼い子宮の内部から責めたてた。
「こんな奥まで入れられたコトないでしょ? たっぷりと味わいなさい」
腹腔の底まで蹂躙される苦痛のあまり、アリシアは白目を剥いて身悶えた。触手の群れに犯される口の端から、分泌される淫液がだらだらと溢れる。
塗りつけられた樹液でベタつく髪を振り乱しながら、アリシアはか細い首を鋭く反りかえした。暗緑色の蔓がグネグネとうねって強引に押し入っていくと、少女は重いうめきを絞り出してガクリと首を折った。口が塞がれていなければ、激痛のあまり悲痛な声をほとばしらせただろう。
「あらあら、ウブな子猫ちゃんにはこっちはきつすぎたかしら……失神しちゃったわ」
楽しそうに笑いながら、シーラは前後の口にねじこまれた蔓の束を揺する。繊細な粘膜をえぐられる痛みにアリシアは朦朧と瞳を開き、悶え泣いた。
か細い泣き声を合図にしたように淫樹は責めを再開した。
太い束を裂けんばかりに咥えこんだアヌスからは鮮血がうっすらとにじみ出していた。
−ああ、もう許して……オシリが、壊れちゃう……ッ……。
しかし、繰りかえされる責めと樹液の効果か、苦痛を訴えるアリシアの心とは裏腹に、いつしか身体は明らかに快感のおののきを見せていた。
苦悶が快美にすり替わり、汚辱が強烈なエクスタシーの津波となって幼い官能を根底から揺さぶった。アヌス責め特有の長くつづくアクメに揉みたてられ、深くえぐりまわされている秘腔から絶えず白く濁った粘液が絞り出された。
頭の中はとっくにドロドロになっていて何か考えることすらできない。涙とよだれを滴らせた痴呆のような顔をさらし、おぞましい触手に凌辱されつづけた。 そして、笛のように長く尾を引いた声が途切れた時、少女は力尽きたようにくずれ落ちた。
可憐な口もとで月光が白く反射した。唇の奥で露になったのは
−あぁ、長く鋭い乱杭歯ではないか。
美少女・シーラは、<ファウンダー>=吸血鬼だったのだ。
美しい瞳が凶々しい赤光を放った。そして、白い牙が華奢な首筋へ
−。
アリシアの口から苦痛とも快感ともつかぬ悲鳴がもれ、萎えきった身体がピクピクと痙攣を起こした。
その時、ひとつの飛影が部屋へ月光のベールを貫いて飛びこんできた。
鋭い気合とともに銀色の弧が走り、アリシアを捉えている触手の群れを断ち切った。
シーラは、突然のことに愕然となった。 その手もとからアリシアの身体が浮き、フワリと侵入者の足元まで飛んでいった。
淡い光にわずかにきらめくほど細い糸が少女の四肢へ絡みつき、吊りさげているのが彼女の眼に映った。
「可愛い妹分を吸血鬼の餌食にされちゃ、亡くなったこのコの両親に面目が立たないわ」
ゆっくりとふりかえった人影が、静かに言った。
細長い光が腰元へ吸いこまれ、鍔鳴りの音が小気味よく響いた。
「何者 −?」
牙の光るシーラの唇からぞっとするような声がもれた。
柳眉が逆立ち、血の色をした瞳が優美なシルエットを睨みつけた。
雲が流れ、月が顔を出した。清々しい光を受ける長い黒髪が艶やかに輝き、風をはらんだマントの裾が美しくひらめいた
−。
「 −このコの保護者よ」と、蘇摩=静流=アスティは言った。
優しく、美しく。
天使のごとく。
羅刹のごとく。
金色の流れはさらに数条ほとばしり、静流の四肢に巻きついた。
逃げる間もなく、身体が宙に持ちあげられ、絡みついた髪がギリギリと全身を締めつけた。
鋼に等しい強度の髪は凄まじい力で骨を軋ませる。衣服が裂け、柔肌から血が噴き出した。首も締められ、息が苦しくなった。
「ふふふ、苦しいかしら? 邪魔をした罰よ。
血を吸う前に足腰立たなくなるまで、たっぷりとオシオキしてあげるわ」
「そう簡単にいくかしら −!」
声とともに、甲高い音がかすかに鳴った。
高く低く空気を裂く音とともに虹色の鋼に覆われた指先からか細い光の筋がいくつも走り、金髪の束へ絡みついた。
同時に、彼女の首の下から爪先までが、瞬時に虹色に輝く金属膜に覆われた。可変流動金属装甲服<シェイプシフト・アーマー>だ。全身を覆う流体金属膜は1ミリに満たぬ極薄ながら、百倍の装甲に匹敵する衝撃吸収能力と対魔法防御を誇る。
金属糸の刃がひき絞られ、女吸血鬼の髪が切断された。
「聴いたわね、私の歌を……」
美しい裸身がゆっくりと静流に迫ってきた。
その凄まじい形相、その美しさ。 血まみれの白い顔に赤い光点がふたつ揺れている。
眼だ −。吸血鬼の邪眼だ。
妖々とした光を見た瞬間、静流の全身が凍りついた。吸血鬼=<ファウンダー>に対する恐怖は、この世界に生きる者すべての遺伝子に深く刻みこまれている。
「ふふふ、私の歌を聴きながら、これほどの技をふるうとはたいしたものね……。ちょっと、痛かったわよ」
2本の腕が、我が身を抱きしめた。 愕然とする静流が凝視する前で、斬られた身体を合わせると、白い裸身を走る朱線はまたたく間に消え失せ、傷ひとつない肌が艶めかしく輝いた。
「 −さあ、聴きなさい。“シーラの歌声”を!」 唇から、美しき旋律が囁くように奏でられた。
優しげに囁きかけたシーラの唇が静流の唇へ重ねられた。揺さぶられる顔を両手で押さえつけ、貪るように吸いたてる。
唇を割って差し入れた舌先で、温かく濡れた口腔をねぶりつつ、しなやかな指が形よいふくらみを撫でまわす。指は徐々にさがっていった。
「んッ、ぅーん……うぅん……」
塞がれた静流の唇の奥からくぐもった喘ぎがもれた。袴の上からにもかかわらず、指が触れるところから甘い痺れがはしり、快感の声がもれてしまう。 静流の股間を撫でまわす繊手の先で爪が閃き、袴は瞬く間にズタズタの布キレと化して床に散らばった。 白い手がさらに着物の裾をはだけ、太腿の奥へともぐりこんでくると、静流はか細い羞恥の声をあげて首を振りたてた。
「あら、もうこんなに濡れてる……感じやすいのね」
秘部を覆った下着の底を撫でるシーラの指は透明な愛液にまみれ、ヌラリと光った。
「そうそう、忘れるところだったわ −邪魔をしてくれた罰を与えなくてわね……」
ひと筋のびた髪が、しこりきったクリトリスの根元へ巻きつく。細い金糸の輪はシーラの意志のままキュウッと縮まり、もっとも敏感な尖りをキリキリと締めつけた。
「ひぃッ、ひぃあああーッ! 痛いッ、やめて……ち、千切れちゃうぅ……ッ」
グンッと腰を突っ張らせつつ、静流はかすれた悲鳴をあげて身悶えた。 ほっそりとした指が粘つく愛液をもらす秘口で泳がせながら、シーラは髪を操り、さらにきつく締めあげた。
静流の口から血を吐くような苦鳴が噴きあがる。強烈な絶頂感が繰りかえし襲い、頭の中が白く染まった。総身が痛ましくわななき、はだけられた秘裂から愛液がチョロチョロともれつづけた。
楽しみの邪魔をした相手が抵抗もできず、苦痛と快感の狭間で悶える姿はシーラの嗜虐心を熱く刺激し、さらに呵責ない責めを誘った。もはや楽しみを邪魔された怒りすら忘れ、魔性の美少女は美しい生け贄を穢しつくす残虐な悦びに没頭していた。
やがて、ひときわ激しい痙攣を起こした静流の身体が壊れたように弛緩し、声にならぬうめきが唇を震わせるばかりとなった。
意識朦朧となった静流をねめつけるシーラの瞳が血の色に染まった。世にも美しい旋律を奏でる唇からのぞく2本の牙
−美少女は<ファウンダー>たる、吸血鬼たる本性を剥き出しにした。
紅い唇を開き、もはや抗う力もない獲物の首筋へ顔をゆっくりと近づけていく。
そして −白い肌へ鋭い牙が突きたてられた。
しかし −静かな音が嘲笑を遮った。鞘走りの音とわかるまで、数瞬を要した。
ふりかえった美少女の視線の先に、倒れていたはずの静流が起きあがっていた。片膝をたて、愛刀を両手で構える。
極度の貧血状態にあるにもかかわらず、瞳にはいまだ闘志が燃えていた。が、肌は血の気を失い、蒼白い。身体を支える膝も今にも崩れそうだ。
それだけに、剣を構える姿には鬼気迫るものがあった。
<ファウンダー>に血を吸われて、なお戦おうとは何という精神力だろうか。
「驚いた……まだ刃向かえるなんて、たいした精神力ね。でもね、無駄、無駄……」
冷たい妖光に貫かれ、静流は身体から力が抜けていくのを感じた。吸血の呪縛だ。
「誰が……あなたなんかの……下僕になるもんです……か!」
静流は最後の気力をふり絞った。
美しい唇が、一瞬不敵な笑みを浮かべた。
−私……ここで死ぬのかな……。
出血とともに身体の中から生命力が流れでていく感覚を、静流はぼんやりと感じた。
かすむ脳裏に最愛の男の面影が浮かんだ、その時
−。
死の暗黒に覆われていく意識の中、淡い月光を背負っ窓際に立ったシルエットが、虚ろに見開かれた瞳に玲瓏とにじんだ。 ふわッとひろがった白い紗幕の向こう、漆黒のマントに長身を包んだ姿が浮かびあがる。
夜の闇が産み落としたような、美しい影法師は
−。
「己の生命と魂を捨ててまで、<ファウンダー>を滅ぼすとはな
−」
シーラの兄、クラウド=フォン=ローゼンベルグ伯爵であった。 失血死寸前の静流の身体をマントで包むように、抱きあげる。見つめる瞳には吸血鬼特有の『たかが人間』と見下した感情はなく、生命を賭けて敵を倒した戦士への畏敬の念がこめられていた。
「このまま散らすには、惜しい生命……。そなたこそ、『口づけ』を授けて同胞にするに相応しい女性だ
−」
血まみれの肢体を慈しむように血に濡れた首筋へ唇を這わせ、彼は恍惚とした声で囁きかける。流れる血の朱は、何よりも蒼白の肌を美しく彩る化粧であった。濃厚な血の匂いは、どんな香水にも勝る媚香であった。
「そして、その気性に相応しき、類い稀なる美貌……是非とも我が花嫁としようぞ」
伯爵が囁いたのは、恐るべき求婚の言葉だった。
気品ある唇が首の傷を塞ぐようにあてがわれ、牙が突きたてられた。
硬く、冷たい感触に貫かれた瞬間、静流の身体が伯爵の腕の中でわなないた。シーラの時を上まわる悦楽と恐怖が全身を貫き、蕩けきった喘ぎ声が唇からもれる。
もはや抵抗するだけの力はなかった。
絶頂を告げる哀しい悲鳴とともに静流の頭がガクリとのけ反った。
やがて、首筋から伯爵の口が離れた。唇の端から紅い筋が細く滴っていた。
「麗しき花嫁よ。夜明けまではま出しばしの時がある。
−我が城へと参り、改めて婚礼の儀式を執り行おう」
「他人の女に手を出すたぁ、感心しねぇな。伯爵様よ……」
窓辺のバルコニーに立った逞しい影が言った。瓢湖凛然たる精悍さは相変わらず
−ウル=ランディであった。彼の背後では、黒の旅人帽に黒いロングコートをまとった青年が大型の連発式杭撃ち銃を構えていた。弟・レオンだ。
秀麗な顔を驚愕と苦痛に歪め、伯爵は苦鳴をもらした。
「貴様、我が『 』を受けて……まだ生きていたのか?」
「一応、オレも不死身が売りなんでな −しかし、今回のはかなり効いたぜ」
不敵な笑みを浮かべ、ウルは不精髭がかなりのびたゴツい顎を撫でた。
かすむほど早く振るわれた右手からのびた銀光が闇を裂き、金属のベルトが伯爵の身体に巻きついた。このまま引けば、身体は輪切りになる。
レオンは、生まれて初めて相手を殺したいほどの憎しみが胸で燃えさかるのを感じていた。
それを抑えようともせず、腕に力をこめた。
だが、Iウィップはビクともしなかった。
「な、何ィ……ッ?!」
「私は、この獣人の娘には指1本触れていない。これは妹の仕業だ
−代わりに詫びよう。だが……」
美しい手が身体に巻きついたベルトへ触れた瞬間、如何なる魔力か、Iウィップは力なく解け落ちた。
「私の邪魔をすることは許さん!」
鋭い牙と爪を剥いたレオンが跳ぶよりも早く、怒りの声とともにマントの内から巨大な魔剣・『黒死剣』が抜き放たれた。
「ぐッ……私としたことが、下賎な輩に手傷を負わされるとはな……がぁッ!」
苦悶の叫びとともに刺さった杭と矢を抜き捨てた伯爵が、屈辱と怒りの形相でウルを睨みつける。
伯爵の姿が、手傷の気配をまったく感じさせないスピードで窓際へ流れた
「……だが、覚えておけ。その女は私の花嫁に選ばれ、『口づけ』を受けた。今日の陽が沈むころには、完全に我が同胞となる」 威厳に満ちた声で宣言した伯爵の姿が、暁暗に溶けていった。
「秘宝★ハンター3 吸血鬼の花嫁」第2章から抜粋、要約