顔面神経麻痺について  3月のテーマ
 前回、帯状疱疹の治療が遅れて、帯状疱疹後神経痛を引き起こし大変辛い思いをしている患者さんの話をさせて頂きました。
 今回も同じように治療が遅れると非常に治りにくくなる病気の一つである、顔面神経麻痺について紹介しいたいと思います。
 顔面神経麻痺は顔の表情が出せなくなる病気であり、眼や口を動かす筋肉に行く神経が麻痺して働かなくなるためで、病気になった側の筋肉が収縮せずゆるんでしまいます。末梢性麻痺と中枢性麻痺に分けられ、中枢性麻痺はごくまれです
 末梢性麻痺には、ベル麻痺・ハント麻痺・交通事故などによる外傷性麻痺・先天性麻痺・腫瘍性麻痺・中耳炎性麻痺などがあります。
ベル麻痺 末梢性麻痺のうちの約60%を占めます。原因はウイルス説が有力ですがまだよくわかっていません。突然にあるいは朝起きてみると顔が曲がっていたり、眼がふさがらな い、口のはしから食物がこぼれるなどの症状が現れ気づきます。耳の後ろが痛んだり味覚低下、一方の耳の知覚過敏が現れることもあります。症状が出てから3〜12ヶ月以内に、80%は麻痺が軽くなるか治癒するといわれています。
ハント麻痺 末梢性麻痺のうちの約20%を占めます。原因は帯状疱疹ウイルスによるもので麻痺の前に頭痛や耳痛があり、麻痺に前後して耳介や外耳道に水疱が発生します。中高年者に多く、治癒率は50〜60%で、抗ウイルス剤で治療します。
 どちらも、処置が早ければ早いほど経過がよく、とにかくほっておかないことです。
 鍼治療について説明しますと、顔面神経麻痺についても疲労や加齢は影響しますので、まず、発症しにくい身体を作ることができますし、特にベル麻痺については鍼治療による改善例も報告されています。早期に治療を開始し、顔面の筋肉の運動を始めることが大切であると考えます。